空を飛ぶ方法

仕事中にふと、点々と雲の浮かぶ空を見て、「空を飛びたい。。。」と思うこと、ありますよね。空を飛びたくなった私は、実際に小型機と超軽量動力機(MLP)を体験操縦してきました。今回は、その時調べたことをまとめます。

空を飛ぶ方法には何があるか

私の知っている限り、空を飛ぶ方法には次のような方法があります。

私は翼とエンジンを使って自由に飛びたいと思っていました。なので、選択肢はおのずと飛行機かMLPになりました。

飛行機とは

ひとくちに飛行機といっても、小型のセスナ機から、大型のジャンボジェットや戦闘機まで含まれます。素人の私がまず手を出せそうなのは小型機なので、これについて調べました。

小型機というときによく出てくるセスナというのは、実は会社名です。"かつては特に小型単発機を多く生産したことから、日本では軽飛行機の代名詞となっている"(wikipediaより)そうで、同程度の飛行機は、セスナ社以外にもPiper社などで生産されています。

これらの小型単発機(単発機:エンジンが一つしかない機体)を操縦するには航空機の「自家用操縦士」免許を取得する必要があります。国内で取得すると500~700万円程度かかるそうです。自家用操縦士免許は海外で取得し、国内の免許に書き換えることも可能です(海外ではprivate pilotと呼ばれます)。この場合、アメリカでは$12,000-程度 (約150万円; 1$ = ¥120)(http://flyaaa.com/http://www.usaviationacademy.com/http://flycfa.com/)、マレーシアでは50,000MR程度 (約150万円; 1MR = ¥30)(http://www.rsfc.com.my/training.htmlhttp://www.frasflyingclub.com.my/)、フィリピンでは日本の会社に仲介してもらい185万円だそうです。アメリカとマレーシアに関しては、実際にフライトスクールにメールして確認しましたが、価格は変動するそうなので保証できません。

免許取得にかかる期間は、フライトスクールによりかなりばらつきがありました。短いところでは5-8週間、長いところでは3ヶ月程度とのことでした。ウクライナでは異様に訓練期間が短く、2週間程度で免許取得ができるという話も聞きました(ただし、費用がフィリピンよりも多くかかるそうです)。

免許を取得したら、晴れて飛行機が操縦できます。各地の空港から、友人を隣に乗せて飛ぶことも可能です。ただし、自家用操縦士の免許では、同乗する友人から費用を受け取ることはできません。また、自家用操縦士に飛行機単体でレンタルしてくれる会社も多くないようで、大抵はパイロットを同時に雇い操縦の補助を頼む必要があるそうです。「事業用免許」という、もう一つ上の免許を取れば、飛行機単体のレンタルを受けやすくなるようでした。他に、飛行機を所有しているサークルに所属するという方法もあるようです。

超軽量動力機(MLP)とは

簡単に言うと、免許のいらないさらに小型の航空機です。免許がいらない代わりに、飛行場や航空機に対する許可を国土交通省からもらう必要があるので、飛ぶためには各地にある航空クラブに所属し、すでに許可を受けた飛行場と航空機を使うことになります。

操縦は、舵面操舵式の場合(操縦桿とペダルで操縦;ほかに体重移動式がある)通常の航空機に近い操縦方法となります。免許がいらないとはいえ、いきなり自由に操縦するのは難しく、航空クラブのベテランパイロットから指導を受けることになります。自分で自由に飛べるようになるまでに、国内で数十時間の訓練と、数十万円程度の費用がかかるそうです。週末に通って、半年から1年程度で一人前になれるようでした。

訓練を受けて一人前となった場合も、自家用操縦士と違い国家資格ではないため、海外の免許への書き換えはできません。海外には sports pilotというprivate pilotより簡単な資格があり、sports pilotで操縦できる機体の中に日本ではMLPに分類される機体もあるのですが、書き換えはできません。海外でsports pilot免許が必要な機体を操縦したい場合、日本で訓練を受けていても、はじめからsports pilotの訓練を受ける必要があります。

また、MLPは操縦できる高度と範囲が決まっています。高度は、下限は地上200m以上、上限は航空管制圏外(通常は高度300mまで)です。範囲は、許可された飛行場の周囲3~5km程度(飛行場により異なるらしい)だそうです。

MLPについては、http://flyers.jp/zza/about/about2.htmhttp://www.geocities.jp/chobi_flyer/what.htmlのページが参考になります。

小型機とMLPではどちらがいいか

 小型機(自家用操縦士)MLP
訓練時間 海外での集中的な訓練で、1~3ヶ月程度
ウクライナでは2週間程度
週末に通って、半年から1年程度
訓練費用 約150万円(@USA, 1$=¥120)
国内では500-700万円程度
数十万円
飛行範囲 基本的に自由
(事前に飛行計画の提出が必要)
飛行場の周囲3~5km
飛行高度

機体の性能次第
(セスナ172なら最高で3,000m程度)

地上構造物より200m~300m

2点間飛行

(飛行機を使った移動)

可能 不可
友人を乗せての飛行 可能
(対価を受け取るには、事業用免許が必要)
不可
機体レンタル 同乗パイロットを雇えば可能(機体代金と合計で ¥46,000/時間 程度)。
機体のみ借りるには、事業用免許を求められることが多い
同じ飛行サークルに所属するオーナーから借りられることがある。
費用は貸主による
海外での利用 海外免許への/からの書き換えが可能 免許ではないので、書き換えという概念自体ない。
海外でsports pilot免許を取得する際には、飛行経験時間は考慮されない

 以上のまとめから、小型機はだいたい好きなところを飛べ、移動にも使え、海外の免許とも書き換え可能など、応用可能性が高いことがわかります。一方、MLPは安価に始められ、週末に通うなど通常の生活の中で継続的に訓練、飛行しやすいことがわかります。

私は、どこかの上空に行きたいという気持ちよりも、ただ自由に飛びたいという気持ちのが強かったので、安価に続けやすそうなMLPの訓練を受けることにしました。

実際に乗ってみた

とはいえ、分析したものの、実際に飛んでみたら気持ちが変わるかもと思い、小型機とMLPを両方体験してみました。

小型機

兵庫県但馬空港にある、WCCアビエーションアカデミーで体験操縦をしてきました。

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乗った機体は4人乗りのセスナ172でした。35年モノの機体だそうです。ちなみに、購入すると400万円ほどで買えるそうですが、維持費に年間150〜300万円(空港による)かかるそうでした。新品の機体は1,000万円ちょっとだそうです。

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雲の間を飛ぶのはなかなか爽快でした。
訓練体験として、自分で操縦桿を握り、実際に旋回飛行、失速からの回復、低速飛行を行いました。

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兵庫県但馬空港から、京都府天橋立まで1時間で往復しました。地上だと2時間少々かかり、さらに週末は渋滞しますが、空からならストレスフリーで最高の景色が楽しめました。

MLP

MLPのほとんどは個人の方が趣味で行っており、業務には利用できないので、体験操縦を行う会社はありません。そこで、日本マイクロライト航空連盟に問い合わせ近隣のMLPサークルを紹介していただきました。
MLPの操縦を始める場合には、指導してくださる方はそれを仕事としている方ではなく、趣味で飛び、好意で教えてくださる方なので、メールを始めやりとりには失礼のないように心がけました。

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今回搭乗したMLPは座席がむき出しになっているものだったので、風を感じて飛ぶことができ最高でした。

どっちも飛んだ感想ですが、飛ぶ楽しさ自体はどちらも変わらず、小型機なら目的地を決めて上空に行ける点、雲の合間を飛べる点が違いました。私はやっぱり飛べれば楽しいので、今後もMLPにしようと思っています。